「額に注がれるオイルが、あなたの“第三の目”を目覚めさせる?」
シロダーラは額に温かなハーバルオイルを流し続ける伝統的なアーユルヴェーダ療法。
その穏やかな刺激は、古くから“第三の目”とも呼ばれる松果体(pineal gland)に働きかけると伝えられてきました。
松果体はメラトニンを分泌し、睡眠・覚醒リズムや意識状態に大きな影響を与える小さな内分泌器です。
現代研究では、シロダーラによる自律神経の調整・ホルモンバランス改善・深いリラクゼーション状態の誘導が確認されており、松果体活性と無縁ではありません。
この記事では、「なぜシロダーラが松果体に影響を及ぼす可能性があるのか?」 を探りつつ、睡眠改善・脳疲労に対する効用の背景を、伝統哲学と科学的エビデンスの両面から丁寧に解説します。
パッと読むためのもくじ
シロダーラとは何か?脳に触れるような癒し
アーユルヴェーダの代表的なトリートメントのひとつ「シロダーラ」は、温かいハーブオイルを額の中心に細く垂らし続ける施術です。
施術中は、静かな音と一定のリズムの中で、まるで瞑想のような状態に誘われます。
この“額の中心”が、アーユルヴェーダで言う「アージュナチャクラ」
いわゆる「第三の目」。
これは直感や高次の意識、覚醒に関係する重要なエネルギーセンターです。
そしてこの場所には、松果体(しょうかたい/pineal gland)という小さな内分泌器官が存在します。
松果体とは?現代科学が注目する“心の中の目”
松果体は脳の中心部、左右の大脳半球の間、視床のすぐ上に位置するエンドウ豆ほどの器官です。
光と暗闇の情報をもとに、「メラトニン」というホルモンを分泌し、睡眠・覚醒のリズム(概日リズム)を整える働きを担っています。
それだけでなく、近年の研究では、松果体が意識レベル・直感・瞑想状態・精神安定にも関係しているのではないかと考えられています。
フランスの哲学者デカルトは、「松果体は魂の座である」と述べたことでも知られます。
アーユルヴェーダと松果体の共通言語:「第三の目」
アーユルヴェーダやヨガでは、額の中心にあるアージュナチャクラが「内観」「真理を見通す力」「高次元の自己」につながるとされます。
興味深いことに、チャクラの位置と松果体の場所はほぼ一致します。
つまり、アーユルヴェーダの伝統的理論では「松果体の活動を活性化し、意識の静寂や明晰性を高める」ことが、シロダーラの目的のひとつと解釈できます。
これが、“第三の目を開く施術”と呼ばれる理由です。
シロダーラによる生理的変化:科学的な裏づけ
脳波変化:α波・θ波の増加
シロダーラ中にはα波・θ波が優位に出現し、深い瞑想状態と同様の脳波パターンが確認されています。(PMC3667433)
ホルモン変化:コルチゾールの低下、ストレス軽減
ごま油を使ったシロダーラ施術後にコルチゾール(ストレスホルモン)が有意に低下。これは副交感神経優位の状態と一致。(Rajan et al., 2021)
睡眠の質改善:メラトニン生成に関与する睡眠の質(PSQI)向上
メラトニンの分泌に関係する睡眠の質(PSQIスコア)がシロダーラ施術後に改善される研究報告もあり。(Javed et al., 2023)
これらの変化は、松果体の活動と調和する生理状態であり、間接的にその機能促進が期待されます。
体験談:「まるで脳の奥に光が差し込んだようだった」
シロダーラ施術後の多くの人が「頭が静かになった」「視界が冴えた」「深い呼吸ができた」と感じると報告しています。
「額にオイルが落ち始めてすぐ、視界の奥がじんわりと光り、第三の目が開いたような感覚がありました。」
これはスピリチュアル体験だけでなく、脳波・ホルモン・神経活動の変化による実感とも考えられます。
注意点:過度な期待・依存を避けるために
- 松果体活性や覚醒の効果を過剰に信じすぎないこと
- 高血圧、てんかん、妊娠中の方は必ず施術者・医師と相談
- 心身の不調が強い場合は、医療との併用が望ましい
まとめ:額に流れるオイルが、心の静けさを呼び起こす
シロダーラは、精神の沈静、睡眠の回復、そして松果体に象徴される「意識の統合」へと導く古代の智慧です。
科学もまた、その効用を静かに裏づけ始めています。
情報に疲れた現代の私たちこそ、“第三の目”をそっと休ませる時間が必要なのかもしれません。
参考論文リンク
Dhuri KD et al. (2013) – PMC3667433
Rajan S. (2021) – ResearchGate
Javed et al. (2023) – LWW Journal

