年々日本の夏の気温が暑くなって、熱中症や夏バテなどに気をつけなければなりません。
しかし、エアコンの寒さや冷たいものばかり飲んで、身体を冷やしてしまうこともあるでしょう。
アーユルヴェーダでは、夏(6月〜10月頃)はピッタという火のエネルギーが過剰になりやすくなります。
バランスを崩してしまい、消化力が落ち、体の疲労が目立つなど、体調を崩す原因になると考えます。
このピッタのバランスを取ることが、快適な夏を過ごすために重要です。
ぜひこの記事を最後まで読んで、生活の中に取り入れ、快適な夏を過ごしてください。
パッと読むためのもくじ
アーユルヴェーダの季節に合わせた健康法
アーユルヴェーダでは、季節に合わせた健康法リトゥ(季節)チャリヤー(行い)をすすめています。
日本でも四季折々に合わせた生活習慣は古来からあり、暦カレンダーにも記載してあります。
例えば、アーユルヴェーダで夏に増え過ぎた「ピッタ」という火のエネルギーを落ち着かせるためには月光浴が有効です。
日本でも残暑の厳しい9月にお月見があるので、遠いインドの話ではありません。
食べ物にも温める作用のあるもの、熱を冷ます作用のあるものがあります。
そして旬の食べ物は栄養素もエネルギーも高いので食べるよう推奨されているのです。
夏に増えやすい、火のエネルギー「ピッタ」とは
身体を動かす生命体エネルギーを「ドーシャ」といい、ヴァータ・ピッタ・カパの3つに大きく分けられ、このバランスは常に変動しています。
この3つのドーシャのバランスが取れていると、代謝や循環が正常に行われている健康な状態といえます。
しかしドーシャは季節や時間帯、食べものなどの影響を受けますが、夏から残暑にかけては火のエネルギーであるピッタが増えすぎる季節になります。
誰もが持っている3つの「生命体エネルギー」
ドーシャとは中医学でいう気のことであり、生命体エネルギーにあたります。
それぞれのドーシャの性質と働きについてまとめました。
- 機敏で活発
- 気まぐれ
- 型にはまらない柔軟性
- 痩せ気味
- 肌・髪の毛の乾燥
- 冷え
- 不眠
- 新しいもの・変化を好む
- 想像力豊か
- ストレスを感じやすい
- 関節痛
- 肩こり・腰痛・生理痛
- クリエイティブ
- 知的で情熱的
- 中肉中背
- 関節が柔軟
- 寒さに強いが暑さに弱い
- 闘争心・敵対心
- 完璧主義
- 汗っかき
- 体臭・口臭
- 湿疹・蕁麻疹
- 目の充血
- 薄毛・白髪
- アルコール依存
- リーダータイプ
- 穏やかで寛大
- 大雑把
- 体力がある
- むくみやすい
- 色白で肌がしっとり滑らか
- 大きな目
- 艶やかな髪の毛
- 歯並びが良い
- 太りやすい
- 眠くなる
- アレルギー性鼻炎
- 慈愛に溢れ献身的
- 頑固で保守的
このようにドーシャを見て、相性や適性を考えるときにも役立てることができます。
燃え過ぎた「ピッタ」を鎮静する生活
夏の増え過ぎたピッタのバランスを取るためには、心身ともに休息をとり、冷静になることです。
普段ピッタが増え過ぎない人でも、夏は増えやすい季節ということを頭に入れておきましょう。
ピッタのバランスを取る方法を具体的に紹介していきます。
- 直射日光に当たらない(サングラス・日傘を使用)
- 休息をとり、リラックス
- 日中に激しい運動はしない
- 疲れたら昼寝をしても良い
- 性生活は控えめに
- 自然と触れ合う(森林浴・月光浴)
- 冷たいものを取り過ぎない
- 精油はペパーミント・サンダルウッド・カモミールがおすすめ
- シータリー呼吸法
- 刺激のあるものには触れない(ゲーム・ホラー映画・辛いもの)
まずは気温が下がった夜の時間に月光浴から始めてみましょう。
燃え過ぎた「ピッタ」を鎮静する食事
アーユルヴェーダの古典書であるチャラカ・サンヒターには「正しい食事を摂ることが人間を健康にさせる唯一の方法です。また正しくない食物を摂ることが病気の原因です」と書かれています。
それだけ正しい食事をすることは重要なことであり、食物の性質がドーシャに変化を及ぼすということです。
食材をまとめました。
控えるべき食物
- アルコール・コーヒー
- 揚げ物
- お酢
- 香辛料
- たまご
- ナッツ類
- ヨーグルト
積極的に摂りたいもの
- 水
- 青汁・フルーツジュース
- 生野菜・果物
- スパイス(コリアンダー・フェンネル・クミン・ターメリックなど)
- 牛乳または豆乳
- 穀類
- 豆
- 油はギーやオリーブオイル
ピッタのバランスを取る調理法は蒸し料理がおすすめです。
夏野菜はフィトケミカルと呼ばれる抗酸化力や免疫力をアップするための栄養素を多く含むので、積極的に摂りましょう。
体力をつけるためにと高カロリーなものを食べると、消化に時間がかかり体力を消耗するので夏バテの原因となります。
燃え過ぎた「ピッタ」を浄化する方法
「鎮静」とは健康の維持・増進に必要なものに対して、「浄化」は症状が悪いときに役立ちます。
浄化の代表的なものはパンチャカルマで、インドやスリランカで受けることができますが、一部は日本のクリニックでも受けることができます。
とてもハードなものなので、パンチャカルマの前準備をするのですが、この前準備を2日間・毎週やることで軽い不調が改善されることもあります。
- 白湯を飲む
- 適度な運動、適度な発汗
- 消化力に適した食事
- オイルマッサージ
- ヨーガ
これらは全て毒素を作らないためのもので、消化力が下がることが毒素をためることになり、ドーシャのバランスが崩れ、ピッタが増え過ぎてしまう原因になるからです。
ちなみにブッタも1日断食をして体調管理をしていたそうです。
ただしヴァータが過剰な人は、完全な断食ではなく、小食にする程度にしましょう。
自分の体質をみて判断することはとても大切です。
消化力を高める薬草の代表は、生姜ですが、スライスして5〜10分煮出した白湯を飲むと効果的です。
さらに生姜を加熱することで、ショウガオールという成分が増えて、血流促進・冷え性改善に役立ちます。
デトックス後は心身を整えるオージャス
アーユルヴェーダを語る上で外せないのが、心身を整える活力素であるオージャス。
オージャスはドーシャのバランスを維持をし、代謝と免疫を高める働きを持っていて、オージャスが低下することで、ドーシャが乱れ、病気の引き金になると考えられます。
ちなみに中医学でいうと、これらに当てはまります。
- オージャス…水殻に気(食物から摂取できるエネルギー)
- プラーナ…天空の気(呼吸から摂取できるエネルギー)
オージャスは代謝の過程で作り出されるので、食物の消化はもちろん、心の消化もできるような生活が大切です。
- たばこ・アルコールの摂り過ぎ
- 悲しみ・怒りなどの否定的な感情
- 過労
- 過剰な性行為
- 加工食品
- 牛肉・鶏肉・魚の食べ過ぎ
- たまご・チーズの食べ過ぎ
- 油が多いもの
- 調理後、長時間放置したもの
最後に
夏を快適に過ごすためには、ピッタをあげ過ぎないことが重要です。
夏の暮らし方が秋の体調に関わってくるので、秋も快適に過ごすためにもできることから始めてみましょう。